重症度、医療・看護必要度は、2018年度診療報酬改定に引き続き、2020年度改定でもA・C項目の評価方法、B項目も看護師の業務負担軽減の観点から評価方法と記録の見直しが行われました。また、400床以上の医療機関においては診療実績データを用いた新たな評価方法である「看護必要度Ⅱ」が要件化され、院内のシステムや業務フローの見直しを迫られた施設も多いと思います。
更に、急性期一般入院料をはじめとした施設基準も見直され、急性期一般入院料1の必要度Ⅰ:30%→31%、必要度Ⅱ:25%→29%と徐々に厳しくなっています。
このような流れの中で重要なのは、必要度Ⅰにとっては重症度、医療・看護必要度を正確に採点すること、必要度Ⅱにとっては正確に請求することです。今回のワンポイントレッスンでは病院ダッシュボードχ(カイ)の「看護必要度分析」を使い、自病院の看護必要度データの精度向上に向けた分析手法を解説します。
STEP1:自院の現状を分析しよう
まずは重症度分析>月別・診療科別・病棟別で月別の推移を見ていきましょう(図表1)。ワンクリックで必要度ⅠとⅡの評価が変更できますので、必要度Ⅱへ移行を考えている場合は、移行後のシミュレーションができます。
併せて重要なのはベンチマークによる立ち位置の把握です(図表2)。自病院の数値だけを追いかけていると、改定ごとに徐々に厳しくなる基準値を満たせなくなる恐れがあります。毎月一度は他病院とのベンチマークで自病院の立ち位置を把握し、下がってきた場合には対策が必要です。
STEP2:疾患別に分析しよう
病院全体で基準値を毎月クリアし、ベンチマーク結果が好成績(左に寄るほど好成績)であっても安心はできません。病院全体だけではなく、疾患別のデータも確認することで課題が見えてきます。
例えば誤嚥性肺炎(手術なし)の症例を見て行きましょう(図表3)。
全体では119位であった重症度、医療・看護必要度ですが、誤嚥性肺炎(手術無し)では232位とベンチマーク上での立ち位置が悪くなりました。自病院には軽傷症例ばかりが来ているのか、データ精度に問題があるのか、それとも在院日数が他病院と比較して長いからなのか、様々な可能性が考えられます。今回はA・B項目の精度を見ていきます(図表4)。
上図は項目別の1日あたり平均点数を自院・他院で集計し一覧表示したものです。色が濃い項目ほど選択した疾患の重症度の向上に影響します。自院と他院を比較し、数字に乖離のある項目には注意が必要です。本例ではA4:心電図、B10:移乗 の2項目が他院よりも低く、重症度が低い要因と考えられます。
「LEAP JOURNAL」は、会員制サービスです。会員の方は以下からログインしてください。「病院ダッシュボードχ」および「EVE」をご利用の方は、無料で会員登録できます(以下の「新規登録」からご登録ください)。