2024年度診療報酬改定の関連情報を中心に毎号特集しているが、今回は「医療分野での身体拘束の縮小・廃止」が論点の1つに位置付けられた「認知症ケア加算」に焦点をあてる。
「認知症ケア加算」は2016年度診療報酬改定で新設されたものだが、20年の改定で、14日以内の期間の認知症ケア加算の点数が10点アップされた(評価体系の見直し)。また要件見直しに関しては主に3点。①専任の医師又は専門性の高い看護師を配置した場合の評価として「認知症ケア加算2」の新設、②認知症ケア加算3について研修を受けた看護師の病棟配置数を3名以上に、③認知症ケア加算1について医師及び看護師に係る要件の緩和だ(図表1)。
この加算のポイントは、加算算定日数に上限がなく、入院中は継続的に算定できるという点。したがって、該当症例をどれだけ算定しているかを示す「算定率」はもちろん、入院日数に対して何日間算定されているかを示す「算定機会率」(入院1日目から退院までの連日算定日数)も合わせてみていくことが重要だ。
■分析医療機関数:認知症ケア加算算定があった857病院
認知症ケア加算1 382施設
認知症ケア加算2 264施設
認知症ケア加算3 211施設
提出直近データをもとに加算1~3に割振り
■分析条件
分析対象:70歳以上症例(年齢入力が空白の症例は除外)
図表2.認知症ケア加算(14日以内)算定率
分母:症例数
分子:算定症例数(15日以降の算定は除外)
図表3.認知症ケア加算(14日以内)算定機会率
分母:在院日数の合計(1症例14日まで)
分子:認知症ケア加算算定日数の合計
図表4. 入院初日算定割合
分母:14日以内の認知症ケア加算算定症例数
分子:入院1日目に算定した症例数
図表5. 平均算定開始日
加算算定初日の合計÷14日以内の認知症ケア加算算定症例
図表6. 認知症ケア加算(14日以内)算定日数に対する拘束割合
分母:認知症ケア加算算定日数の合計
分子:身体拘束による減算日数の合計
留意点:
本加算は本来、日常生活自立度支援Ⅲ以上が対象者となっているが、様式1に入力されているⅢ以上に絞った時の加算算定データと実際にレセプト請求されているデータに乖離があるため、今回の分析は、せん妄ハイリスク患者ケア加算でリスク因子として挙げられている70歳以上症例を分析対象としている。
「LEAP JOURNAL」は、会員制サービスです。会員の方は以下からログインしてください。「病院ダッシュボードχ」および「EVE」をご利用の方は、無料で会員登録できます(以下の「新規登録」からご登録ください)。