新設「入院時支援加算」と「入退院支援加算」を 可視化するための3ステップ

DBχワンポイントレッスン用見出し

 「新設『入院時支援加算』へ取り組む前に『入退院支援加算』の見える化を!」と題して、5月号特集では、いかにして入退院支援加算の算定状況を改善し、入院時支援加算の算定対象症例を拾い上げていくか、について説明した。本稿では、「病院ダッシュボードχ(カイ)」の「チーム医療plus」を用いて、実際にそれをどう確認していくかを紹介する。

 特集の再掲になるが、予定入院で入退院支援加算を算定した症例は、悪性腫瘍で多く(図表1)、どの部位でも概ね20-30%の症例で算定している。自院はどうだろうか。以下の3つのステップで確認できる。

【図表1】 予定入院症例における疾患別退院支援加算算定状況
1805_136_DBfig1

退院支援加算1、2算定率ベンチマーク

 「チーム医療plus」⇒「おすすめ加算詳細分析」⇒「看護(退院支援)関連」画面から、「退院支援加算1、2」を選択すると、退院支援加算1、2算定率ベンチマーク(分析対象:65歳以上、かつ在院日数(DPC)が8日以上の症例(死亡症例を除く))を見ることができる。自院の算定率は64%だ(図表2)。

【図表2】 退院支援加算1、2算定率ベンチマーク
1805_136_DBfig2

ICDコードから悪性腫瘍の絞り込み

 入退院支援加算の算定候補である悪性腫瘍症例数を把握するには、大分類Cコードのみを集約させるため ICD10の絞り込み条件を活用する(図表3)。絞り込み条件は、厚生局別、病床規模別、病院群別等でも応用できる。

【図表3】 ICDコードから悪性腫瘍の絞り込み
1805_136_DBfig3

悪性腫瘍で退院支援加算1、2が算定されている症例を診療科単位で可視化

 図表4では、悪性腫瘍に絞り込んだ入退院支援加算算定率を示している。対象症例256例のうち入退院支援加算算定率は54%。入院時支援加算の年間最大増収ポテンシャルは、約150万円(年換算症例数768例×2、000円=153.6万円)となる。入院支援のKPIの一つとして活用したい。さらに、院内条件として診療科別を選択し、算定率順等に並び替えると、対象症例数と算定率の関係から、今後、算定率改善に向けた取り組みを行うべき診療科等が見えてくる。

 今回は、新設「入院時支援加算」「入退院支援加算」の可視化方法を紹介した。新たな取り組みをするときには、現状の可視化と目標設定が非常に重要だ。「病院ダッシュボードχ」を使って効率的にPDCAサイクルを回してほしい。

【図表4】悪性腫瘍で退院支援加算1、2が算定されている症例を診療科単位で可視化する
1805_136_DBfig4

 なお、GHCでは病院経営幹部を対象にした、より深くPFMを理解するためのセミナーを7月21日に開催する。日本病院会副会長で小牧市民病院事業管理者の末永裕之先生、佐久総合病院副統括院長の西澤延宏先生をお招きし、急性期病院にとっての円滑な入退院支援について学ぶ。詳細についてはグローバルヘルスコンサルティング(info@ghc-j.com)までお問い合わせください。

解説を担当したコンサルタント 森本 陽介(もりもと・ようすけ)

morimoto 株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのアソシエイトマネジャー。
慶応義塾大学経済学部卒業後、国家機関で薬事行政に携わり、入社。DPC・外来・財務・看護必要度・地域連携・人口動態等、多岐に渡るデータの解釈による現状分析・将来予測などを得意とする。公立がん拠点病院(関東甲信越400床台)など多数の医療機関のコンサルティングを行う。
解説を担当したコンサルタント 塚越 篤子(つかごし・あつこ)

tsukagoshi 株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのコンサルティング部門シニアマネジャー。
テンプル大学教養学部経済学科卒業。経営学修士(MBA)。看護師・助産師として10年以上の臨床経験、医療連携室責任者を経て、入社。医療の標準化効率化支援、看護部活性化、病床管理、医療連携、退院調整などを得意とする。済生会福岡総合病院(事例紹介はこちら)、砂川市立病院など多数の医療機関のコンサルティングを行う。新聞の取材対応や雑誌への寄稿など多数(「隔月刊 地域連携 入退院支援」の掲載報告はこちら)。