2024年度からの医師の働き方改革 ~手術の時間外等加算~

leapJ_tokusyu

医師の働き方改革推進に向けて、2024年4月より時間外労働の上限規制が適用開始となる。年間の時間外労働が960時間を超える医師がいる病院(連携B水準、B水準、C-1水準、C-2水準の指定を受ける病院)では、医師労働時間短縮計画の作成が求められる(図表1)。本計画の作成は、2022年度診療報酬改定で地域医療体制確保加算の要件としても新たに追加されたが、院内の準備は進められているだろうか。上限規制の適用開始は2024年4月だが、当年度に入ってから新たな運用をスタートさせるのでは、スムーズに運用できない可能性が高い。医師の時間外労働に関する実態把握や、上限時間を上回る医師に対する対応策の検討については、できるだけ早期に取り掛かることが重要である。

図表1 医師の働き方改革の概要(厚生労働省 医療介護総合確保促進会議資料より)
図表1 医師の働き方改革の概要(厚生労働省 医療介護総合確保促進会議資料より)

今月の特集である手術の時間外等加算(時間外加算・時間外特例医療機関加算・休日加算・深夜加算をまとめて、以降時間外等加算とする)は、勤務医の負担軽減の取り組みが評価されたもので、働き方改革の1つとして是非この機会に取り組んでいただきたい加算である。時間外加算1の要件は当初、手術の前日の夜勤時間帯に当直・夜勤及び緊急呼び出し当番を行った日数が、届出を行っている診療科全体で年間12日以内であることであった。しかし、特定の医師に負担が偏るといった状況がみられたことにより、2022年度診療報酬改定で、診療科全体ではなく届出を行っている診療科の各医師について年間4日以内という要件に変更された(図表2)。さらに、届出を行っている診療科の各医師について2日以上連続で夜勤時間帯に当直を行った日数が年間4回以内、という内容も新たに要件化された。以前よりも医師1人1人の勤務状況の把握および適正化が求められていると言えるだろう。

図表2 時間外等加算1に係る要件の見直しについて(令和4年度診療報酬改定資料)
図表2 時間外等加算1に係る要件の見直しについて(令和4年度診療報酬改定資料)

本号では、手術の時間外加算・深夜加算・休日加算(以降、時間外等加算とする)に着目し、各施設の算定状況を可視化する。是非、時間外等加算の算定向上や医師の働き方改革推進へのきっかけとしていただきたい。

<分析条件>
データ期間:2022年1月~2022年12月退院症例
対象施設数:
・図表3~4:976病院
・図表5~7:890病院、対象症例:全93,579症例

〇図表3~4:
・加算1は時間外加算1(手術)または時間外特例医療機関加算1(手術)、加算2は時間外加算2(手術)または時間外特例医療機関加算2(手術)とする。
・期間中、加算1を1症例以上算定していた場合に加算1とし、加算1の算定が0症例であり、かつ加算2を1症例以上算定していた場合に加算2とする。
〇図表5~7:
・算定対象症例(分母):緊急入院症例であり、入院初日に時間外加算(初診・再診・外来診療料)、時間外特例医療機関加算(初診・再診・外来診療料)、休日加算(初診・再診・外来診療料)、深夜加算(初診・再診・外来診療料)のいずれか算定した症例のうち、入院初日に手術を実施した症例とする。
・時間外等加算(手術)算定症例(分子):手術の時間外等加算(時間外加算・時間外特例医療機関加算・休日加算・深夜加算)1または2を算定した症例とする。
〇図表6:
術式別:入院初日に実施した手術に限定する。
〇図表7:
算定ポテンシャル金額は、「未算定症例(算定対象症例のうち、時間外等加算(手術)を未算定の症例)が入院初日に実施した手術点数×0.8×10」とし、年換算の金額とする。

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