褥瘡ハイリスク患者ケア加算

leapJ_tokusyu

褥瘡ハイリスク患者ケア加算(入院中1回、500点)は、新設から20年が経ちその間に対象患者の範囲も少しずつ拡大してきた。今や診療報酬の中で定着した加算である一方、長年の運用により算定が形骸化してしまい、本来褥瘡ケアが必要な患者を見落としていたり、褥瘡ケアを提供しているにもかかわらず算定につながっていないという状況はないだろうか。2024年度診療報酬改定により医療の質指標に褥瘡発生率が加わり、より一層、予防策を徹底することが求められている。診療報酬に沿った形で、対象患者を適正に把握できているのか、現場での運用を改めて見直すきっかけとしていただきたい。

<分析条件>
データ期間 :2024年10月~2025年9月退院症例
対象症例 :3,878,294症例
対象病院数 :褥瘡ハイリスク患者ケア加算の算定実績がある493施設

図表1:
様式1の入棟時・退棟時の褥瘡の有無より判定
1~7桁目が全て0の場合褥瘡なし、それ以外を褥瘡ありと定義
「院内発生」:入棟時なしかつ退棟時あり 「褥瘡あり」:入棟退棟ともにあり 
「院内治癒」:入棟時ありかつ退棟時なし 「褥瘡なし」:入棟退棟ともになし 
図表2:対象症例数は他項目と重複カウントあり
図表3:各項目の分母は以下の通り
【ア】薬効分類3「強心薬」、「血管収縮薬」を入院初日に使用した症例(手術請求を除く)
【イ】様式1のICD10コードに「下肢末梢循環不全」が記載されている症例
【ウ】精密持続点滴注射加算算定かつ麻薬・鎮痛鎮静剤を3日間投与した症例
麻薬:薬効分類3の合成麻薬 
鎮静剤:プロポフォール、デクスメデトミジン、ミダゾラム
【エ】外保連試案で手術時間が6時間以上と分類されているKcodeが付与された症例
【オ】肺切除(開胸・胸腔鏡)、頸椎後方固定術を実施した症例
【カ】様式1のICD10の項目に「下痢」「クロストリジウム・ディフィシル」の
いずれかが記載されている症例
【キ】低出生体重
DPC:140010x2or140010x3または140010×4(2,500g未満のDPC)付与症例
【キ】GVHD
 DPC上6桁:180041(移植臓器及び組織の不全及び拒絶反応)または
 併存症ICD10:T860,T868,T808(急性白血病)付与症例
【キ】黄疸
 様式1のICD10:P57,P58,P59,R17(黄疸)付与症例
【ク】酸素マスク・人工呼吸器など
入院中に酸素マスク、人工呼吸器等を1週間以上連続して使用した症例
【ク】身体拘束
 認知症ケア加算の身体拘束ありが1週間以上連続して実施された症例
【ケ】様式1BMI=20以下で傷病名に「褥瘡」「浮腫」の記載がある症例

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