病院経営は危機に瀕しており、病院に対する「緊急的な財政支援」「物価・賃金の上昇に適切に対応できる診療報酬」対応を行うとともに、インフレ下では「社会保障関係費の伸びを高齢化の伸びの範囲内に抑制する」という取り扱いを改めよ—。
日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会・日本慢性期医療協会の5病院団体が2025年1月22日、福岡資麿厚生労働大臣に宛ててこうした緊急要望を行っている。昨年末(2024年11月16日)に日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会の3病院団体から示された「2024年度 病院経営定期調査 概要版」においても、2023年6月と2024年6月の前年同月比較で医業利益の赤字幅は全国的に拡大していることが示されていた。
働き方改革や今般の改定でも考慮された賃上げによる人件費増、昨今の社会情勢も反映した物価高騰による材料費や水光熱費の増加などコスト面の影響に加え、コロナ禍以前に比べて患者が減ったまま戻ってこないという声もよく聞く。患者はどこにいるのか—。
集患対策として地域連携強化を図っている病院も多いだろう。1件でも多くの紹介を増やそうと、開業医訪問などを通じて地域の医療機関とのコミュニケーションを充実させようと努力したり、地域住民向けの公開講座や開業医などとの勉強会を開催したりしている病院も多いはずだ。しかし、他院と同じ取り組みを実施しているだけでは容易に患者は増えない。
今号では、「診療情報提供料(Ⅰ)」に着目し、こうした患者を増やすための地域連携について考える。各病院では日頃から多くの診療情報提供書を送付しているはずだが、「適切に」診療情報提供書を送付できていると自信を持って言える病院はどれくらいあるだろうか。DPCデータを基に、いくつかの指標を確認しながら、「適切に」診療情報提供書を送付することが、いかに地域連携を強化し、患者増加に貢献するのかについて考えたい。
データ期間:2024年7~12月退院症例
対象施設数:1,018病院
対象症例 :3,132,453症例
図表2:
・算定率分母:様式1の「退院先」が、2(他院通院)、4(他院転院)、5(老健入所)、かつ、地域連携診療計画加算(入退院支援加算)もしくはがん治療連携計画策定料を未算定の症例のうち、DPC外病棟への転棟がない症例
・算定率分子:算定率分母のうち、診療情報提供料(Ⅰ)を算定した症例
図表3:
・算定率分母:図表2における算定率分子
・算定率分子:算定率分母のうち、退院時診療状況添付加算もしくは検査・画像情報提供加算を算定した症例
図表4:
・平均算定件数分母:様式1の「退院先」が、2(他院通院)の症例
・平均算定件数分子:平均算定件数分母における診療情報提供料(Ⅰ)の算定件数
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