病院の通信簿

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 全国各地の医療機関の経営を支援するGHCのコンサルタント。彼らが病院経営の現場で見聞きした興味深い情報をつぶやきます。

 2月初旬、厚生労働省から全国のDPC対象病院へ、次年度の機能評価係数Ⅱの内示がありました。今回は診療報酬改定がない年度のため、それほど大きな変化はなかったようです。皆さまの病院ではいかがでしたでしょうか?

 DPC対象病院にとって、係数は非常に重要な指標です。機能評価係数IIは、毎年の「病院の通信簿」にもなりますので、経営幹部をはじめ、貴院でも一喜一憂されたことでしょう。私は、この通信簿を「へぇ~」で流さず、病院全体の重要指標として、大げさなくらいに取り上げていただきたいと考えています。

 一喜一憂する際には、以下が重要なことです。

 『ターゲットの係数を決めて、院内全体で取り組んできたか』

 実は、この「ターゲットの係数を決める」が曖昧な病院が多いイメージを持っています。「今回は〇〇が上がるんじゃないかなぁ~」という会話を聞くこともあるためです。

 また、院内全体で取り組むにせよ、その取り組みの進捗を管理する部署や委員会は明確でしょうか? DPCだからと言って、すべてを医事課に丸投げしていないでしょうか?

 ちなみに、私がお伺いしている病院では、ターゲットにしていた係数はおおむねアップしました。狙っていた係数がアップするということは、病院の皆さまがしっかりと計画を立て、それに従って適切な努力をした証です。顔見知りの病院の係数アップは、その裏にあった数多くの努力を知っていることもあるので、非常に嬉しいです。「よっしゃ~!」と、ついつい声が出てしまいます。

 喜ぶのもつかの間、すでに2020年度の評価は中間を過ぎようとしています。今からでもまだ間に合います。そのためには、「ターゲットを決め」そして「院内全体」で「責任を明確」にした取り組みが欠かせません。

 今回の係数分析は、別記事で速報をだしております。是非、ご参考ください。

解説を担当したコンサルタント 冨吉 則行(とみよし・のりゆき)

snakamura 株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのコンサルタント。
早稲田大学社会科学部卒業。DPC分析、人財育成トレーニング、病床戦略支援、コスト削減、看護部改善支援などを得意とする。多数の医療機関のコンサルティングを行うほか、GHCが主催するセミナー、「病院ダッシュボードΧ」の設計、マーケティングを担当。若手コンサルタントの育成にも従事する。