このままでいいの? 救急医療管理加算の大きな算定格差

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 全国各地の医療機関の経営を支援するGHCのコンサルタント。彼らが病院経営の現場で見聞きした興味深い情報をつぶやきます。

 診療報酬改定の中で話題に挙がっていた「救急医療管理加算の基準が…」というディスカッション。コンサルティングで病院を訪問していても、「うちの県は厳しいから」という話をよく聞きます。果たして実態はどうなのでしょうか? 厚生労働省が公開した『第3回NDB(ナショナル・データ・ベース)オープンデータ』で少し遊びながら調べてみました。

 結論、各都道府県で全然違います!

 本データは「算定回数」が出ています。したがって、▽隣の県より算定回数自体が多い(少ない)▽加算1と2の割合が高い(低い)――などが明確に分かります。

 今回はNDBのデータだけでは面白くないので、他のデータ(人口動態調査や救急医療係数など)も組み合わせて分析してみました。その中の1つを例に、「各都道府県で全然違う!」というところを見ていきましょう。

 下記図は、各県の算定状況の中で加算1の割合を縦軸に、横軸には15歳以上人口当たりの算定回数(算定のしやすさを意味する)を置いて作成しました。縦軸と横軸の各平均を中心に、4つの区切りを設けます。

【図表】 都道府県別 人口当たり回数(縦軸)と加算1率(横軸)
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 私は北陸エリアの病院へ行く機会が多く、特に石川県と富山県の同加算の変遷を見てきました。富山県はここ数年、県全体で同加算の算定方法を見直している傾向にありますが、石川県はまだそこまでには至っていない状況にあると感じています。救急医療管理加算の算定件数は、人口は石川県の方が多いのですが、算定の絶対数は富山県の方が多いです。実際、図表を見てみると、富山県の方が右に位置し、積極的に算定している方向にあることを示しています。

つまり、「県全体で算定の見直し」という私の肌感覚が、実際の数値として明確に示されているというわけです。(巻末資料に、「都道府県別の入院基本料加算」の詳細を掲載しましたので、ご覧ください)。

 県単位で審査が行われているので、多少の差が生じることは仕方のないことかもしれません。しかし、全国共通の診療報酬の一部である以上、やはりある程度は統一した見解を持ったうえで算定できるようにしていただきたいということが、コンサルタントとして常日頃感じている本音です。

 本加算への取り組みの評価は、機能評価係数IIの「救急医療係数」に集約されることから、DPC評価分科会でも話題になっていました。弊社の病院ダッシュボードχ(カイ)(我々社内では「DBχ」という表記です)でも機能評価係数IIの分析機能で救急医療係数を取り上げており、かなりのアクセスをいただいております。

 「同じ厚生局内での他の病院は、救急医療管理加算は、どの理由で算定しているのかな?」

 正直、これが一番、気になるところでしょう。それをDBχでは、明確にベンチマークしています。

 本加算において一番重要なことは、「院内に明確なルールがあるかどうか」です。そして、
■その基準が他病院と比較して厳しくしていないか
■知らず知らず勝手に厳しくしていないか

 などについてデータで精査できるところが、ベンチマークの活用どころです。みなさまも是非、救急医療管理加算の算定状況をベンチマーク分析し、同加算の最適な算定を目指していただければと思います。

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解説を担当したコンサルタント 冨吉 則行(とみよし・のりゆき)

snakamura 株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのコンサルタント。
早稲田大学社会科学部卒業。DPC分析、人財育成トレーニング、病床戦略支援、コスト削減、看護部改善支援などを得意とする。多数の医療機関のコンサルティングを行うほか、GHCが主催するセミナー、「病院ダッシュボードΧ」の設計、マーケティングを担当。若手コンサルタントの育成にも従事する。