催し物は戦略的?

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 弊社では、企画に関しては半年以上前から計画し、毎月、複数回のセミナーやユーザー会などのイベント(催し物)を開催しています。企画が決まれば、そこから工程表を作成し、漏れなくダブりなく運営をしていきます。

 この催し物の企画の際に重要なことは、「組織の目指すべき姿と、催し物の方向性が合致しているか」ということです。

 病院では、市民公開講座(一般市民向け)やオープンカンファレンス(連携医療機関向け)などの催し物が企画されることが多いです。貴院では病院の方向性に合った「企画」が提案され、前回の反省を活かした「運営」が行われているでしょうか?

 例えば、「企画」は、「昨年はA科とB科だったから、順番で今年はC科とD科にお願いしよう」などと方向性のない決め方になっていませんか?「運営」に関しても、「昨年と同様の時期から同じ対象に募集を開始しましょう」と、前回の反省を活かすことなく、過去のやり方を踏襲し続けて、結局、いつもと同じ顔触れしか集まらない状態になっていませんか?

 残念ながら、「企画」も「運営」も戦略性がない病院が多いように見受けられます。ただ、個人的には、特に、自治体病院の事務部門は、さまざまな分野や部署の経験を経て病院に配属されていることが多いのでしっかりと戦略性を伴った催し物を企画・運営できるだけのポテンシャルは高いと考えています。多様な催し物の企画や運営方法を目の当たりにしてきた事務方であれば、その経験を活かした面白い「企画」や新たな「運営」を提案できるはずです。医師側の経営者にも、その経験に耳を傾けていただきたい。

 2019年も半年が過ぎ、後半戦に突入しました。貴院の後半戦の催し物は、まだ見直しが可能でしょうか?可能でしたら、一度、戦略的な視点に立って、経営トップと企画や地域連携部門が一緒に知恵を絞り出してみてください。

解説を担当したコンサルタント 冨吉 則行(とみよし・のりゆき)

snakamura 株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのコンサルタント。
早稲田大学社会科学部卒業。DPC分析、人財育成トレーニング、病床戦略支援、コスト削減、看護部改善支援などを得意とする。多数の医療機関のコンサルティングを行うほか、GHCが主催するセミナー、「病院ダッシュボードΧ」の設計、マーケティングを担当。若手コンサルタントの育成にも従事する。