いよいよオープン、新機能「地域連携分析」! 紹介患者の入院移行率などの分析が可能に

DBχワンポイントレッスン用見出し

 今回のワンポイントレッスンでは、いよいよオープンになった新機能「地域連携分析」を紹介する。

 地域連携分析は、病院ダッシュボードχ(カイ)のベースパッケージに追加した新メニュー。別途、「地域連携データ」を提出していただくことで、DPCデータと紐付けを行い、「入院に移行した紹介患者」などの分析が可能になる。

 本機能の目的は「集患力の強化」にある。例えば、地域連携を推進していく上で、以下のような課題を持っている読者は一人や二人ではないだろう。

・どの医療機関からの紹介がどのような入院に展開しているのか分からない…
・たくさん紹介をしてくれている医療機関だが、実は入院に結びつく症例がなかった…
・入院症例をたくさん紹介していただいているが、診療科が偏っていた…
・救急症例の紹介は多いが、予定入院の症例はほとんどなかった…

 従来、経験値と口頭ベースで取り組みを行ってきた前方連携活動が、本機能を活用することで、データをベースとした行動に生まれ変わる。

 本機能は、(1)件数分析、(2)入院移行分析、(3)スコア分析――の3つの分析に分かれる。

件数分析

 まず、件数分析は、紹介件数の推移や紹介元施設の機能などを可視化する。具体的には、地域連携データから、▽時系列で示した自病院の紹介患者の状況▽紹介元を機能別(病院、クリニック、在宅・介護、その他)――に分けてグラフ化。ベンチマークにも対応しており、100床あたりの紹介件数を比較できる。地域連携室が院内幹部に毎月提出している資料の一部は、この機能で代替できるだろう。

【図表1 件数分析】
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入院移行分析

 入院移行分析は、紹介から入院に結びついたケースの分析だ。急性期病院にとって、紹介をしていただく目的は、入院症例を増やすこと。貴院の紹介患者の入院移行率は高いか低いか、入院移行率の目標を設定しているか――。今一度確認して欲しい。

 ただ、そもそも「入院移行」の全国統一の定義は存在しない。GHCでは、従来からコンサルティングを通じて入院移行の分析を行ってきており、「紹介から60日以内の入院を「紹介による入院」と定義してきた。入院移行分析では、その割合をベンチマークすることもできる。

【図表2】入院移行分析
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 さらに、診療科別、紹介元別、医師別にまで掘り下げて、紹介件数、入院移行率、入院手術率、入院収益なども分析できる。紹介数は多いが、入院移行率が低い医療機関へは、戦略を練り直した上で、再営業を行うべきだ。

【図表3】入院移行分析
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スコア分析

 最後に、スコア分析は、紹介元をスコア化し、地域連携の活動全体を俯瞰した上で、次に取るべき行動の優先順位を付ける分析だ。入院移行分析で、ターゲットは明確になった。ただ、より効率的にアプローチをしていくためには、ターゲット先をスコア化し、優先順位を明確にする必要がある。

 さらに、紹介元医療機関から、▽どのような疾患+手術有無の紹介があるのか▽診療科に偏りはないか――なども含めて分析をすることで、ターゲットに対して何を行うか、という行動ベースまで明確に作戦立案をすることができる。まさに地域連携室の最大の武器になるだろう。

【図表4】スコア分析
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 加えて自病院を中心に紹介元をマッピングすることで、どのエリアに重点を置くべきかを可視化し、効率的な訪問スケジュール立案が可能だ。

【図表5】スコア分析
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 多くのユーザーの皆様に期待をいただいていた新機能の地域連携分析は、今後、成功事例を集い、多くの病院へ事例共有できるようにしていきたいと考えている。「こんな活用をした」「こんな使い方ができた」――といった成功事例を、是非、ご紹介いただきたい。

解説を担当したコンサルタント 冨吉 則行(とみよし・のりゆき)

snakamura 株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのコンサルタント。
早稲田大学社会科学部卒業。DPC分析、人財育成トレーニング、病床戦略支援、コスト削減、看護部改善支援などを得意とする。多数の医療機関のコンサルティングを行うほか、GHCが主催するセミナー、「病院ダッシュボードΧ」の設計、マーケティングを担当。若手コンサルタントの育成にも従事する。