パワフルな集患のための医療連携体制、最適な人員配置は?―MWJ読者アンケート(5)

「メディ・ウォッチ・ジャーナル」はこのほど、読者アンケートを実施。6回に分けて、集計したアンケート結果の分析内容についてお伝えしている。今回は、地域連携部門を紹介する。
本稿では前半にDPCデータのみを使用した分析、後半にアンケート回答結果に基づく分析を紹介する。

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【分析条件(全体)】
DPCデータ:2016年4月~12月 分析対象病院:755病院

まずは、医療連携部門にて直接的な収益を上げる柱となる退院支援加算(2016年度診療報酬改定で新設)の算定状況について確認する。図1では、2016年4月以降の加算1・2の算定病院の割合を月単位で示している。4月時点では31.4%だった加算1の病院が12月には59.2%まで増加している。加算1・2では人員配置要件が異なるため、その体制づくりを着々と行い算定を開始した病院が多いようだ。

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病院ごとの算定状況はどうだろうか。図2は横軸に病院を並べ、縦軸に各病院の算定率を比較したグラフである。死亡症例を除く65歳以上かつ、在院日数8日以上の症例を分母とした際に、80%以上の症例に算定している病院もあれば、数%に留まっている病院も確認できる。1例でも算定しているということは、要件を満たすための人員配置はしているということであり、可能な限り算定への取り組みをしていきたい(本稿末尾に病院コード別退院支援加算算定率リスト掲載)。

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次に、他病院とのかかわりにおいて、算定可能な項目の代表が診療情報提供料である。今回は、診療情報提供が必要であろうと考えられる退院後に他病院外来へ通院する症例を対象とし、算定率を確認した(図3)。診療情報提供料(Ⅰ)の算定率は平均48.6%であり、半分以上の症例で未算定という状況が明らかとなった。また、併せて算定していきたい退院時診療状況添付加算についても、算定率の低い病院が確認できた(本稿末尾に病院コード別退院支援加算算定率リスト掲載)。

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今後、在宅復帰支援や他病院連携の重要性は増していく。その中心となる医療連携室の体制構築をどのように考えるかは、各病院についての必須命題になってくる。

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◆病院コード別退院支援加算算定率リスト

解説を担当したコンサルタント

太田 衛(おおた・まもる)

morimoto 株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのコンサルタント。
大阪大学大学院医学系研究科機能診断科学修士課程修了。大阪大学医学部発バイオベンチャー企業、クリニック事務長兼放射線・臨床検査部長を経て、GHCに入社。診療放射線技師、第一種放射線取扱主任者の資格を持ち、病床戦略、地域連携、DPC分析を得意とする。関東地方400~500床台の公的病院における病床戦略策定・機能分化実行支援などを行うほか、日本病院会が手がける出来高算定病院向け経営支援システム「JHAstis(ジャスティス)」」の分析も担当する。