褥瘡予防、治療の重要性と褥瘡ハイリスクケア加算算定状況比較

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 2年に一度の診療報酬改定において、何らかの評価が見直される項目として褥瘡があげられる。2018年度改定では褥瘡ハイリスク患者ケア加算の対象患者に「皮膚に密着させる医療関連機器の長期かつ持続的な使用が必要であるもの」が追加されるとともに危険因子としてスキンテアも追加された。2020年度改定では病院、訪問看護ステーション、栄養ケアステーションの連携強化のため、在宅患者訪問褥瘡管理指導料の算定可能回数が2回から3回へ増加し、病院内だけでなく在宅との連携も強化されることとなった。

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 本号では褥瘡による在院日数への影響、褥瘡ケアの介入を評価する褥瘡ハイリスク患者ケア加算を用いて予防、対策状況を比較する。さらに、褥瘡を発生させる要因として、身体拘束を行っているかどうかについて、認知症ケア加算(身体拘束減算)を用いて可視化したので報告する。

<分析条件>

2019年10月~2020年3月退院症例(DPC外病棟転棟症例は除外)、912病院 


褥瘡を併発すると在院日数が延長する傾向

  DPCデータにある病名(入院契機病名、入院時併存症病名、入院後発症病名)から、同一DPCにおける褥瘡有無での在院日数が長くなる傾向が、すべての疾患で確認できた(図表1、図表2)。褥瘡のみが退院時期を遅らせる要因となっている訳ではなく、元々褥瘡ができやすい栄養状態にある症例は在宅復帰するまでの環境を整えるために時間がかかる等、様々な要因があると考えられる。褥瘡の予防や対策は、目に見える褥瘡を治療するだけでなく、褥瘡が起こる環境、生活習慣を変えることにまで踏み込む必要がでてくる。褥瘡発生が多い場合には、在院日数の延長、院内感染、廃用症候群発生という医療の質への影響だけでなく、効率性係数の低下という経営へのマイナス影響もあるため、適切な褥瘡予防、対策は重要だ。

【図表1 褥瘡病名の有無による在院日数の違い】
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【図表2 褥瘡有無での在院日数分布の違い】
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