機能評価係数Ⅰを戦略的に向上させる実践的手法

DBχワンポイントレッスン用見出し

 7月26日、多機能型経営分析ツール「病院ダッシュボードχ(カイ)」を刷新し、「機能評価係数I」の分析機能を新たにリリースした。 

 係数を正しく理解し、機能評価係数Iアップのために、具体的にどういったアクションをとればいいのか。「病院ダッシュボードχ」の「機能評価係数I」を活用することが、一番の近道だ。本稿では具体的な使い方を取り上げる。

まずは機能評価係数Iを理解する

 機能評価係数Iは、医療機関の人員配置や医療機関全体として有する機能など、医療機関単位での構造的因子(Structure)を軸に係数として評価しているものだ。

 出来高評価体系において、当該医療機関の入院患者全員に対して算定される加算や、入院基本料の補正値などを係数として設定している(図表1)。

【図表1】機能評価係数Ⅰ(平成30年度診療報酬改定厚生労働省資料)
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自院の機能評価係数Iの現状を理解する

 それでは、架空のGHC病院を事例に「病院ダッシュボードχ」を使って、自病院の状況を可視化していこう。まずは、「機能評価係数I」の俯瞰マップ(図表2)を見ていただきたい。

【図表2】機能評価係数Ⅰ(自院の係数の状況)
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【図表3】機能評価係数Ⅰ(ベンチマーク)
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 その上で、自院の機能評価係数Iの立ち位置を確認しよう(図表3)。GHC病院では機能評価係数Iは平均を下回っており、改善の可能性があると判断できる。病院ダッシュボードχの「機能評価係数I」は、自院が算定している機能評価係数Iの状況を月ごとに算出できるため、定期的に状況をモニタリングすることをおすすめする。

自院の機能評価係数Iを戦略的にアップさせる

 次に機能評価係数Iを向上させるための具体的な検討手法を紹介する。具体的な項目の検討に当たっても、その判断基準となるのは、やはりベンチマークである。

 「機能評価係数I」では、項目別に他院の状況と比較(ベンチマーク分析)することができる(図表4)。また、係数別にランクアップした場合の増収金額が明記されているのでインパクトシミュレーションをすることも可能。

【図表4】機能評価係数Ⅰ(全病院の届出状況)
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 例えば、図表4によると、GHC病院は「看護職員夜間12対1配置加算2」を取得しているが(青字:自院提出項目)、加算2で算定している病院よりも3倍近く(24.6%)の施設がより上位の加算1を取得している。

 加算1を取得するためには、「夜間の看護師業務の負担軽減に資する業務管理などに関する項目」を満たす必要があるが、なぜ自院は加算1が算定できないのか、どの項目が満たすことができないのか、それらは人数的に絶対に無理なのか、検討の余地はないのだろうか。

 加算の算定状況と自病院の状況を確認した上で、GHC病院が加算2から加算1に変更することができるのであれば、その際の増収ポテンシャルは63万2619円(297万7029円-234万4410円)であることが、「機能評価係数I」画面から一目で分かる。機能評価係数Iは人員配置に関わる評価が多いが、現状からの見直しは無理と決めつけず、他病院とのベンチマーク情報も参考にして係数向上の余地はないかどうかを見てほしい。

 このように、自院が届出している項目と他病院の算定状況、算定を行った場合の増収効果を比較していくことにより、機能評価係数Iを向上させるための戦略的なノウハウが分かる分析を「病院ダッシュボードχ」では提供している。

 今回紹介した「機能評価係数I」には、他にも前回まで機能評価係数Iの項目だった後発医薬品係数の詳細分析機能などを搭載している。いずれも難解な係数ロジックを弊社が整理した上で、これまでコンサルティングで提供してきたノウハウを元に、ソリューションに直結する分析機能となっている。係数の重要性が2018年度改定でもさらに高まっているため、是非、積極的に活用してほしい。

解説を担当したコンサルタント 森本 陽介(もりもと・ようすけ)

morimoto 株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのアソシエイトマネジャー。
慶応義塾大学経済学部卒業後、国家機関で薬事行政に携わり、入社。DPC・外来・財務・看護必要度・地域連携・人口動態等、多岐に渡るデータの解釈による現状分析・将来予測などを得意とする。公立がん拠点病院(関東甲信越400床台)など多数の医療機関のコンサルティングを行う。

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