経営の決め手は「何ができているか/できていないか」の確認

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 全国各地の医療機関の経営を支援するGHCのコンサルタント。彼らが病院経営の現場で見聞きした興味深い情報をつぶやきます。

 

「良い提案は出てくるけど、なぜ実行できないんだ!」
「この話、前も出たよね?なんでできていないの?」

 コンサルで全国を飛び回っていると、こんな経営トップ層の声をよく耳にします。

 我々コンサルタントは、毎日のように全国を飛び回り、各クライアント病院を訪問し、経営トップと話をします。病院の経営が向上するため、どの病院にも等しく“愛”を注いで対話を重ねているのですが、どうしても「どんどん経営が良くなる病院」と、「なかなか変化が見られない病院」の2つに分かれます。その違いは何でしょうか?

 まさに、冒頭の言葉です。このような発言が出る病院は、正直なところ「なかなか変化が見られない病院」です。「どんどん経営が良くなる病院」は、このような発言は一切出てきません。

 なぜでしょうか。職員が率先して動いているから?能力がある事務方がいるから?経営企画部門があるから?

 すべて『NO』です。

 我々コンサルタントからすると、答えは明快です。それは、「経営トップ層がKPIの進捗確認をできているかどうか」だからです。KPIとは、Key Performance Indicatorの略で、業績を評価するための重要指標を意味します。つまり、「何ができているか/何ができていないか」を明確にするものです。

 通常、KPIは年度当初に立て、責任部署を決めます。その進捗を四半期くらいの頻度で責任部署が報告します。そこで経営トップ層が確認とアドバイスを行います。もし年度の途中で重要な案件が出てきたならば、そこからKPIに追加すればよいことです。

 

 そもそも「なかなか変化が見られない病院」の多くは、KPIが存在していません。「予算」という名の机上の目標はありますが、そこから各部署の具体的アクションには結びついていません。

 また、「なかなか変化が見られない病院」の多くは、必ず「形」から入ります。課、委員会、BSC・・・。確かに、形は重要です。ただ、往々にして形を作って満足しがちです。形を作って満足し、KPIを追わない。そこが間違っています。

 では、どの様にトップマネジメントを行えばよいのでしょうか?

 まず、Keyとなる具体的な目標が必要です。今年の重点課題をどうするのか、特に患者を集めたいのであれば、どの診療領域を売り出したいのか、どのエリアの患者を取り込みたいのか――。そこを明確にします。

 次いで、責任者、責任部署を設けます。責任の所在を明確にすると言うと、「達成した際の見返りを要求される」という声も良く聞きます。特に医師は、大学人事で動いている大学組織の一員なので、気持ちは理解できます。ただ、給与を支払っている組織が目標を達成するために必要な責任でもあります。そこを理解してもらうことこそが、トップマネジメントの役割です。

 そして、「どんどん経営が良くなる病院」が必ず行っている「定期的な進捗確認」を、トップが率先して実践することこそが重要です。これこそがkeyです。「できた?」「できなかった?」「なぜ?」「どうしていこうか?」――。トップ自らのKPI確認から、改善が始まります。

 院長が変われば病院も変わる、とよく聞きます。我々も多くのクライアント病院で体験しています。Keyは『明確なKPI』と『定期的な進捗確認』です。

 我々GHCコンサルタントの仕事は、その立案と進捗確認のサポートです。これからも“愛”を込めてご支援させていただきます。

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解説を担当したコンサルタント 冨吉 則行(とみよし・のりゆき)

snakamura 株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのコンサルタント。
早稲田大学社会科学部卒業。DPC分析、人財育成トレーニング、病床戦略支援、コスト削減、看護部改善支援などを得意とする。多数の医療機関のコンサルティングを行うほか、GHCが主催するセミナー、「病院ダッシュボードΧ」の設計、マーケティングを担当。若手コンサルタントの育成にも従事する。