PFM推進に向けてパーツを固めよう ~総合評価加算~

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 2020年度診療報酬改定の情報が徐々に入ってくる中、改めて、2018年度改定の大きな流れを2つ確認しておこう。

 一つは入院料の大再編で、看護師配置による入院料が実質廃止された。どれだけ重症患者に医療を提供しているのか、重症度、医療・看護必要度の割合で評価されるようになったこと。もう一つが、patient flow management(以下PFM)。以前から退院調整は入院初期からのかかわりが重要とされてきたが、先の改定で更に外来時点でのかかわりが評価されるようになった。今回は、後者の中でも、高齢者の特性に応じた入院早期の総合的評価と位置付けられている「総合評価加算」を取り上げる(図表1)。

【図表1】 退院調整・介護連携のフローと診療報酬


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 総合評価加算は、65歳以上、又は特定疾病を有する40歳以上65歳未満の入院患者に対して、基本的な日常生活能力、認知機能、意欲等について総合的な評価を行った場合に、入院中1回に限り、100点を算定することができる。

【施設基準】
(1)介護保険法施行令第二条各号に規定する疾病を有する40歳以上65歳未満の者又は65歳以上の者の総合的な機能評価を適切に実施できる保険医療機関であること。
(2)当該保険医療機関内に、高齢者の総合的な機能評価に係る研修(16時間以上)を受けた医師又は歯科医師が1名以上配置されていること。
(3)介護保険法施行令第2条各号に規定する疾病を有する40歳以上65歳未満の者又は65歳以上の者の総合的な機能評価を行うにつき十分な体制が整備されていること。



<分析条件>
データ期間:2018年9月~2019年8月退院症例 
対象施設数:879病院(対象症例が1症例以上の病院)
対象症例:以下要件を満たす症例
-65歳以上
-DPC病棟に入院した症例
予定入院の定義:様式1「予定・救急医療入院」が1$$
緊急入院の定義:様式1「予定・救急医療入院」が200、3$$

総合評価加算算定は対象施設の43.9%

 総合評価加算算定病院は、対象施設の43.9%にあたる386病院にとどまった(図表2)。理由の一因として考えられるのが、日本老年医学会等での一定時間以上の研修受講が義務づけられている事に加えて、研修会開催頻度が極めて限定的ですぐに定員に達してしまうことにあると考える。

 更に、届出基準のハードルの高さに対して評価される点数が入院中1回の100点であること、つまり経営的増収メリットが大きくないということも届出に二の足を踏ませている一因かもしれない。しかし本加算は、入院後のPFMに向けてのスタートともいえる加算であり、総合評価でもあることから、まだ届出をしていない施設に対しては是非前向きに検討いただきたい。

【図表2】 総合評価加算算定施設割合


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