「メディ・ウォッチ・ジャーナル」はこのほど、読者アンケートを実施。6回に分けて、集計したアンケート結果の分析内容についてお伝えている。12月号では、栄養部門および人員アンケートの結果に引き続き、薬剤部門を紹介する。
薬剤部門の状況に関するアンケート結果を分析していくと、病棟薬剤業務実施加算の算定の有無が影響している項目とそうでない項目があることが分かった。本稿では前半にDPCデータのみを使用した収入分析、後半にアンケート回答結果に基づく分析を紹介する。
◆アンケート回答病院用※閲覧にはパスワードが必要です
◆アンケート未回答病院用
病棟薬剤師の影響どう見る
2016年度診療報酬改定では特定集中治療室などに薬剤師を配置することなどを評価する「病棟薬剤業務実施加算2」(1日につき80点)が新設され、一方で集中治療系病室における薬剤管理指導を評価していた「薬剤管理指導料1」が廃止された(図表1)。
集中治療系病室を持つ病院であれば、新設された「病棟薬剤業務実施加算2」を取得して、旧薬剤管理指導1の収入減少部分を補てんしようと考えるのではないだろうか。また、これまで病棟薬剤業務実施加算を届け出ていなかった病院でも、薬剤師の病棟配置がより評価される流れを受け、改定を機に病棟薬剤業務実施加算を届け出ようと検討する病院もあるだろう。
薬剤師による情報提供が医師、看護師の薬剤管理に安心感を与えることは間違いない。しかし、経営的な視点からは、薬剤管理指導による直接的な患者対応と、薬剤業務実施加算による医師、看護師の業務負担軽減を比較検討する必要が出てくる(図表2)。
薬剤部の関連する加算・管理料収入のインパクト
薬剤部が関連する加算・管理料で、平均的にどの程度収入インパクトがあるのだろうか――。
GHCが保有するデータと病床機能報告制度による全国の病院別報告データと紐づけられた398病院(薬剤師数が0の病院は除外)で確認すると、病棟薬剤業務実施加算届け出の有無にかかわらず、薬剤管理指導の算定金額が最も大きく、病棟薬剤業務実施加算未届出病院では薬剤部門入院収益の87%(639万円のうちの556万円)、病棟薬剤業務実施加算届出病院でも薬剤部門入院収益の63%(1497万円のうちの941万円)の割合を占めている。
病棟薬剤業務実施加算部分の収益は、100床当たり414万円である。したがって、薬剤師1人が2病棟を担当するとした場合、新たに薬剤師を雇用して病棟薬剤業務実施加算を届け出ても、薬剤師1人当たり人件費が414万円以下でない限り、人件費増が診療報酬収入増を上回るってしまう(図表3)。
薬剤管理指導件数を勤務日当たり1回実施することにより、単純計算で年間78万円増収する(325点×月稼働日20日×12カ月=78万円)。前述の398病院をもとに分析を行うと、9%の病院では薬剤管理指導による収入だけで薬剤師1人当たり年間人件費(480万円と仮定)を超えた金額を算定できていることがわかった(図表4)。薬剤管理指導料による収入を上げるポイントは3点あり、①1日当たり実施患者数を増やす、②1患者当たりの算定機会を逃さない、③ハイリスク薬投与時の算定(薬剤管理指導料1)の算定割合を上げる――の3点がある。
薬剤師の業務は多岐にわたり、調剤、在庫管理、医師業務サポートなど直接の診療報酬収入に結びつかないものも多いが、薬剤管理指導算定金額で薬剤師1人分の人件費をカバーできているかどうかは各病院において注目すべき点だろう。
薬剤部関連業務の中にも隙間業務が多々あり、薬剤師総数が増えるほど業務分担を行い、効率化できる部分があるためか、100床当たりの薬剤師数は病棟薬剤業務実施加算届出病院の方が有意に多く、100床当たりの薬剤部関連収益も多い(図表5)。病棟薬剤業務実施加算を届け出ている病院の病棟担当薬剤師は、半日ないしは1日病棟に常駐できる体制を整えており、調剤業務、注射業務といった中央業務を担う薬剤師との役割分担が明確になっていることが多い。そのため、薬剤管理指導のタイミングを逃すことなく実施することができるため、病棟薬剤業務実施加算届出病院の方が薬剤管理指導による収益が高い傾向にあると考えられる。
以下のアンケート結果の続きは、アンケート回答病院のみ閲覧いただけます。アンケート回答病院は、本ページのPDF版(パスワードロックされています)をダウンロードいただき、メールにて送らせていただいたパスワードを用いてロック解除して閲覧ください。
なお、今からでもアンケートにご参加いただければ、完全版のPDFを閲覧することが可能です。ご興味がある方は、アンケート用紙をご参照の上、アンケート回答フォームより必要事項をご記入の上で、送信いただきますようお願いします。
◆アンケート回答病院用※閲覧にはパスワードが必要です
◆アンケート未回答病院用