DPC環境下、病院経営の視点では、いかに入院医療の包括部分をマネジメントするかが重要です。一方、手術・加算など出来高算定部分のマネジメントも欠かせません。特にDPC収益構成割合で約3割(弊社保有データの平均値)を占める「手術」の対応は必須です。加えて、2020年改定では、「重症度、医療・看護必要度」でもC項目で術式の追加や評価日数の延長など手厚く評価されたこともあり、まさしく手術室は「急性期病院の心臓部」であると言えます。
病院ダッシュボードχ(カイ)ではDPC分析以外に、手術室のデータも分析することが可能です。手術室の稼働を高くするために必要な視点は3つあります。
【手術室分析3つのキーワードと視点】
1.ファーストケースが定時に入室できているか、曜日にばらつきがないか
2.時間外業務は少なくできているか
3.ターンアラウンドタイム(清掃や準備など次の手術までの時間)は短くできているか
今回は病院ダッシュボードχの「手術分析」の機能に的を絞り、この3つのキーワードと視点について、分析事例を説明します。
STEP1:手術室稼働曲線を確認しよう(ファーストケース立ち上がり
まずはファーストケースがきちんと手術室の受け入れ開始の時間通りに入室できているか確認していきます。
上記の場合、午前9時から手術室は稼働開始していますが、9時の段階では4室中2~3部屋の稼働です。4室稼働になるまで、1時間以上のロスタイムがあります。ファーストケースが遅れると、最終的には定時までに手術が終わらず、残業せざるをえなくなる可能性が高まります。
診療科別に確認すると、脳神経外科・整形外科は比較的9時までに入室していますが、外科は1時間程度遅れています。麻酔科・執刀科にかかわる要因もあるので、まず原因を可視化することが重要です。OP出し時間の問題であれば、病棟業務・運用を見直し9:00時入室の徹底を目指しましょう。
次に曜日別、手術室別に稼働率を見てみましょう。色の濃い部分は高稼働での運用ができてる部屋です。任意の枠を選択すると、その枠の曜日別・時間別稼働および主に使用している診療科がわかります。手術室2・火曜をクリックすると、36.3%と稼働が低いですが、午前中の稼働の低さが原因でした。外来診療と合わせて手術枠の見直し等、曜日別、時間別に確認する必要があります。
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