2020年度診療報酬改定の関連情報を中心に毎号特集しているが、今回は認知症への質の高い医療推進に関連した「認知症ケア加算」に焦点をあてる。
「認知症ケア加算」は2016年度診療報酬改定で新設されたものだが、今回の改定では評価体系及び要件の見直しがなされた(図表1)。前者においては、14日以内の期間の認知症ケア加算の点数が10点アップされた。後者は主に3点。①専任の医師又は専門性の高い看護師を配置した場合の評価として「認知症ケア加算2」の新設、②認知症ケア加算3について研修を受けた看護師の病棟配置数を3名以上に、③認知症ケア加算1について医師及び看護師に係る要件の緩和、だ。
この加算のポイントは、加算算定日数に上限がなく、入院中は継続的に算定できるという点。したがって、該当症例をどれだけ算定しているかを示す「算定率」はもちろん、入院日数に対して何日間算定されているかを示す「算定機会率」(入院1日目から退院までの連日算定日数)も合わせてみていくことが重要だ。
認知症ケア加算 算定率・算定機会率ベンチマーク
分析条件
■データ期間:2020年4月~7月(4月以降入院の症例を対象とする)
■対象病院:814病院
(認知症高齢者の日常生活自立度判定基準Ⅲ以上の症例が1症例以上存在している病院)
■61,473症例
・認知症ケア加算対象症例
様式1の「認知症高齢者の日常生活自立度判定基準」におけるランクⅢ以上に該当する症例
・算定率:
分子:認知症ケア加算 算定症例数
分母:認知症ケア加算対象症例数
・算定機会率:
分子:認知症ケア加算の延べ算定回数
分母:認知症ケア加算対象症例の延べ在院日数(DPC外病棟期間も含む)。
・拘束率
分子:認知症ケア加算(拘束あり)実施日数
分母:認知症ケア加算合計実施日数
まず、加算別に各病院の算定状況をみると、届け出数が一番多い加算1(318病院、全体の39%)の平均算定率は48.3%、算定機会率は42.5%だった(図表2)。加算2、加算3になるにつれて算定率・機会率は高くなっている。これはカンファレンス及び病棟の巡回等、加算1に必要な認知症ケアチームの活動に係るハードルの高さが影響しているのではないかと考えられる。
今回の改定でも入院前支援の更なる評価として、入院時支援加算1が増点された。入院支援センター等での情報をもとに、事前に日常生活に対する自立度を判定することにより入院1日目から患者の状態に合った環境を整え、加算を算定することが可能だ。
「LEAP JOURNAL」は、会員制サービスです。会員の方は以下からログインしてください。「病院ダッシュボードχ」および「EVE」をご利用の方は、無料で会員登録できます(以下の「新規登録」からご登録ください)。