帳票機能で1年間の成果検証をしてみよう

DBχワンポイントレッスン用見出し

 病院ダッシュボードχでは、DPC俯瞰マップの「重要指標詳細分析」を、この度リニューアルしました。主要な8指標(入院収益、症例数、症例単価、期間Ⅱ超率など)について、経年変化を把握しやすいグラフ、前年比を確認しやすいフォーマットを搭載し、定例会議等でそのまま使いやすいスタイルになりました。

 年度末から年度はじめにかけて、診療科毎に1年間の振り返りを行う病院も多いと思います。今回は、帳票機能を活用した分析手法を解説します。

STEP1:検索条件を設定する

 左サイドの分析項目の一番上にある「DPC俯瞰マップ」の「重要指標詳細分析」を選択します。今回は整形外科を対象にして、診療科の1年間の成果を検証する手法を解説します。 まずは、下記の画面の表示の①から⑥まで順番に画面をクリックしてください。

図表1 「重要指標詳細分析」メニューへの進み方
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 上記の通り画面をクリックしていくと、下記の画面が表示されます。画面右上に検索条件が記載されていることを確認してください。

図表2 検索条件の表示
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STEP2:成果検証を行う指標を理解する

 ダッシュボードχの重要指標詳細分析では、入院収益の構成要素を因数分解しながら自病院の改善すべき項目がどこなのかの見当を付け、その他の機能で詳細を深堀り分析する流れを想定しています。まずは、入院収益がどのような要素から構成されているか、そして、それぞれの構成要素の関係をしっかり理解しましょう。

図表3 入院収益の構成要素
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 入院収益は、症例数と症例単価から構成されます。症例数は、特に手術症例の受け入れ強化がポイントになります。症例単価は、平均在院日数と1日単価から構成されます。

 1日単価向上のためには、(1)平均在院日数短縮、(2)手術や高単価症例の集患、(3)出来高項目の強化がソリューションになります。平均在院日数は重症度や効率性係数に影響する為、急性期病院では稼働率とのバランスを見ながら、在院日数を適正化することが大きなポイントになります。

 在院日数の適正化を考える上で重要な指標が期間Ⅱ超率です。DPC疾患の全国平均在院日数である期間Ⅱを超えた症例が全体に占める割合を意味します。期間Ⅱ超率は、平均在院日数、1日単価にそれぞれ影響します。例えば、期間Ⅱ超率が高くなった場合、平均在院日数が延びる一方、1日単価は下がる関係にあります。また症例数と平均在院日数は1日平均患者数に影響します。1日平均患者数は病床稼働率の近似指標となり得る指標です。

STEP3:整形外科の成果検証を行ってみよう

 では、整形外科の成果検証を行ってみましょう。まず、画面のロードマップ上では初期設定として「入院収益」が選択されており、下段に自病院の推移が掲載されていることを確認してください。

図表4 分析指標の選択と画面の構成
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 入院収益の推移をみると、2018年度以降、前年度、前々年度を上回る収益状況であることが確認できます。特に、9月以降の上昇が顕著です。要因を因数分解して探りましょう。

図表5 入院収益の推移
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 入院収益の構成要素のうち、まずは症例数の動向を探ります。分析指標選択から症例数をクリックしてください。

図表6 分析指標の選択と画面の構成
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 症例数の推移をみると、2018年度以降、前年度、前々年度を上回っています。入院収益の伸びの要因の1つとして集患ができていることが分かります。

図表7 症例数の構成
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 更に、症例数の増加について、「予定・緊急」、「手術あり・なし」の視点で更なる深堀り分析が可能です。今回は、予定手術症例の動向を探ります。分析指標選択から症例数、予定手術をクリックしてください。

図表8 分析指標の選択と画面の構成
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 予定手術症例の推移を確認すると、件数は前年度、前々年度を上回る状況であることが確認できます。

図表9 予定手術症例数の推移
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 続いて、入院収益の二番目の構成要素である症例単価の動向を見てみましょう。先ほどと同じく分析指標選択から症例単価をクリックしてください。

図表10 分析指標の選択と画面の構成
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 症例単価は、前年度を下回る月もあり、明らかな上昇傾向は確認できません。更に要因を探ってみましょう。

図表11 症例単価の推移
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 先ほどと同じように、平均在院日数をクリックして推移を確認します。6月~8月にかけて平均在院日数が短縮していることが確認できます。一方、期間Ⅱ超率の推移をみると大幅に低下していないことから、DPCの期間Ⅱの短い症例が多かったものと推測されます。

図表12 平均在院日数推移
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図表13 期間2超率推移
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 以上の分析から、この病院の整形外科では、予定手術症例を中心に増患が行われており、在院日数も期間Ⅱを目安にコントロールされている状況であることが確認できました。1年間の取り組みとして、集患やベットコントロールに対する診療科の取り組みを評価してください。

解説を担当したコンサルタント 森本 陽介(もりもと・ようすけ)

snakamura 地域医療構想下における病院再編・統合に関する意思決定支援、統合後の臨床統合(クリニカルインテグレ―ション)支援が専門。単体病院にとどまらない、地域全体の病院・関係団体・住民を巻き込んだ支援を得意とする。多数の都道府県・医療機関のコンサルティングを行うほか、GHCが主催するセミナーや各種マーケティング施策の立案を担当。複数の新聞、雑誌の取材協力も行う。